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2009年 06月 16日
国華黒(染めの店 なかむら)
人々の往来で賑わう京都三条会商店街。黒門通を少し下がると、 落ち着いた店構えの『国華黒』(染めの店 なかむら)が見えてきます。 一歩お店に入ると、ひんやりと心地のよい空気が訪れた人を出迎えます。 お店の中には、立派な黒紋付の着物と並んで、見事に生まれ変わった洋服たちが、 持ち主の元へ帰るのをそっと待っています。 シミや色あせで着られなくなった洋服に、 新たな命を吹き込んでくれるのが、この国華黒さん。 黒染めにこだわり続ける、二代目ご主人の中村通男さんと、 洋服の染め担当恵津子さんにお話を伺いました。 Q.いま、着物を取り巻く現状とは? A.戦後から昭和60年頃までは、黒紋付染めの仕事は大変繁盛しておりまして、多い時では一日に200反もの染めの仕事がありました。1年中、朝から夜中まで働く毎日でした。 ところが、25年程前から染めの仕事が減る一方となり、今では週に1度、数反を染める程度にまで激減しました。冠婚葬祭など、人生の節目の行事にさえ、手軽なレンタル着物で済ませるケースが増え、社会全体の着物離れを痛感しています。 Q.洋服の丸染をされるようになったきっかけは? A.黒紋付染めが低迷する中、10年程前に新聞で見つけた、京都の環境に優しいお店を掲載する「リサイクルガイド」のプロジェクトに参加したことがきっかけです。京都の伝統の技、黒染めをもっと活かしたい、そしていろいろな方に知ってもらいたい。そんな思いで洋服の丸染を始めました。 実は終戦後、黄土色の軍服は目立つので、日常着として着やすいように黒く染めておりました。その頃の経験が、今の時代に役立っています。 Q.色染めもできると伺いましたが? A.京都には、着物を作る工程ごとに専門の職人さんがいらっしゃいます。そのネットワークを活かして、シミ抜きならこの方、色染めならこの方と、依頼される洋服にとって最良のご提案を心掛けています。各々の職人さんにとっても、ご自身の技が必要とされるということは、大きな喜びです。 綿、麻、絹、ウールなどの天然素材は染めに適していますので、シミや色あせなどで着られなくなったお気に入りの洋服や和服があれば、あきらめずに一度ご相談下さい。 Q.洋服の丸染は、若い世代にも人気ですね。 A.Tシャツからスーツ、そしてストールから和装の帯揚げまで、様々な衣類のご相談を受けます。若い方が多いことは、本当に嬉しい限りです。 お客様からお預かりする衣類は、どれも思い出の詰まった1点物。ですから、仕上がりについてはご希望に添えるよう、最大限に努力します。 お客様にご満足頂いた時の喜びはとても大きく、これまで以上に愛着を持って長く着て頂けるよう、今後もお手伝いをしたいと思っています。 <国華黒の丸染をご紹介します> 伝統工芸士 京黒紋付染の早田喜夫さんに解説をして頂きました。 ・まず衣類を下洗いし、その後よく水洗いし、40度のお湯につけます。 繊維の汚れをしっかり落とし、お湯で繊維を膨らませることで、 染料の吸着が良くなります。 ・次に、90℃以上に煮詰めた染料の中に、約20分間衣類を入れます。 色むらができないように、専用の竹の棒で丁寧に釜をかき混ぜながら 艶やかな色味に仕上げます。 ・染め上がった衣類は、いったんお湯につけ、 その後水洗いすることで余分な染料を落とします。 それから 地下80mからくみ上げた井戸水の流水で丸1日さらし、自然乾燥、 プレスできれいに仕上げられ、持ち主のところに帰ってきます。 後記:2シーズン活躍した白い綿のパンツに、全体的に茶色のシミができてしまったので、迷わず黒染めをお願いしました。 早田さんの手に掛かると、どんな衣類でもすうっと素直に染まります。 素材や形状によって、微妙に染めの条件を変えながら、一番良い色を出していきます。 90℃以上の染料を相手に、熱さなどものともせず、素手で仕事をする早田さん。 職人の手業が活きる、丸染の奥深さを十二分に味わうことができます。 生まれ変わった黒いパンツに再会するのが本当に楽しみです。 国華黒(染めの店 なかむら) 京都市中京区黒門通三条下がる TEL:075-801-1777 Mail:kokka@aurora.ocn.ne.jp 国華黒ホームページ
by eco100sen
| 2009-06-16 00:00
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