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2009年 10月 16日
「コケのチカラ」が都市の“砂漠化”を救う!
株式会社ヴァロール “都市の緑化”という響きから、皆さんはどんな風景をイメージしますか? 木々が茂り、季節の花が色鮮やかに咲きほこり… と美しく整備された公園を思い浮かべるかも知れません。 近年、工場立地法*1や地方自治体の緑の条例などが制定され、大規模工場や都市部の緑化が義務付けられるようになりました。都市の“砂漠化”を防ぎ、環境改善をはかる取組みはますます加速しています。しかし、工場をはじめ、都市部のビルやマンションに新たな緑を増やすことは容易ではありません。 そこで、今注目を集めているのが“コケ”を使った緑化への取組みです。 小さなコケが秘めた大きな可能性について、 株式会社ヴァロール 代表取締役社長の山下和貴さんにお話を伺いました。 Q.緑化素材としての“コケ”の特徴を教えて下さい。 A.私たちは、約2万種もあるコケ類の中から、最も乾燥に強い“スナゴケ”に注目し、 長年研究を続けてきました。屋上は、植物の生育環境としては非常に苛酷な条件です。 しかし、“スナゴケ”は常に風にさらされ、乾燥しやすく、夏は直射日光が、また冬には雪が降る、といった条件下でも一年を通してメンテナンスを必要としない、とても優れた性質を持っています。 Q.屋上ビオトープとはどのような点が違うのでしょうか? A.一般にビオトープとは、樹木や草花を植え込み、池や小川を造り、自然の生態系を再現することを目指すため莫大な費用が掛かりますが、スナゴケによる屋上緑化は土を必要とせず、平面地での施工であれば灌漑(かんがい)設備もいらない、正に低コストで実現できる緑化システムなのです。特に工場の屋根は、上からの加重に弱く、メンテナンスも大変なので、軽くて、手間のかからないスナゴケの導入は効果的です。また、夏場は太陽の熱を吸収するので、建物の空調温度の低減にも繋がります。 Q.この方法を家庭でも取り入れることはできますか? A.最近では、個人宅の屋上緑化やホテルの景観維持に使用されるなど、お客様のニーズに併せて用途も広がっています。1辺が50cm四方と、扱いやすい大きさなので、どんなに小さなスペースにも設置することが可能です。少ない雨でも身体の表面から即座に吸水し、日陰でも光合成が可能という特徴は、スナゴケの持つ生命力の強さを示しています。 Q.スナゴケの可能性は広がるばかりですね。 A.はい、スナゴケは建物の緑化だけでなく、CO2の削減や建物を紫外線から守るなどの多面的な効果があります。斜面や壁面などへの設置も可能ですので、身近な緑化素材として皆様の生活の中に広がり、環境改善に繋がることを願っています。 *1 工場立地法…法律で定められた業種の工場(特定工場)に対して、工場の敷地面積が9,000m2メートル以上または建築面積3,000 m2メートルの工場に対して、20%以上の緑地面積を有することを課した法律。地域によって緑地面積の規定が異なる。 (参考:http://www.green-factory.jp/location.html) 後記:このスナゴケの生育には、通常2~3年を要しますが、株式会社ヴァロールでは高度なバイオテクノロジーにより、何と4か月の生育期間で商品化に成功。世界でも類を見ない科学技術の結晶が、スナゴケの安定的な供給を可能にしました。 そして、このスナゴケはオブジェの素材としても大活躍!コケ作品を多く手掛ける大津ヒロヨシ氏による「ムータン」は、会社のイメージキャラクターとして展示会などで注目を集めているそうです。 社名の“ヴァロール”とは、イタリア語の「価値」の意味。新たな「価値」を模索し続ける株式会社ヴァロールの取組みに、驚きと期待が膨らんだ取材でした。 株式会社ヴァロール 京都市下京区東塩小路町607 辰巳ビル6A TEL:075-361-1130 FAX:075-361-1131 株式会社ヴァロールホームページ
by eco100sen
| 2009-10-16 00:01
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